essay

二番目に待っている僕

 10月1日の日本経済新聞NIKKEIプラス1「何でもランキング」に、気になる言葉づかいのことが書かれていた。
 読者モニターにインターネットで調査した結果は、以下のとおり。

  1位 「○○でよろしかったでしょうか」
  2位 「○○円からお預かりします」
  3位 「私って○○じゃないですか」
  4位 「○○のほう」
  5位 「私的には」
  6位 「ゲロうま」
  7位 初対面なのに友達のような口調
  8位 語尾を上げる話し方
  9位 「うざい」
 10位 目上の人に対する「ご苦労さま」
 11位 「お名前さまいただけますか」
 12位 否定を伴わない「全然○○」
 13位 「○○なくない?」
 14位 「きもい」
 15位 「てゆーか」
 16位 「やばい」
 17位 ら抜き言葉
 18位 「ぶっちゃけ」
 19位 「ビミョー」
 20位 「きしょい」「むかつく」

 ロイヤルホストを運営するロイヤルホールディングスは、顧客の苦情が増えたことを受け、2003年1月、「○○円からお預かりします」「よろしかったでしょうか」など五つの禁止用語を全国の店に通達したという。
 デニーズジャパンも同様の通達を出したが、その後もなかなか改善されず、2005年5月、二度目の通達を出したという。
 五年遅いよねぇー。
 そもそも、僕がこのエッセイのコーナーを作ったのも、乱れた日本語が気になって、最初はそのことについて書きたかったから。
 五年近く前に「#01 日本語は難しい」で、あーでもないこーでもないと書いたが、ようやく世の中も変わり始めたようだ。ま、とりあえず、悪いことではない。
 って、オマエが世の中を変えたわけじゃないだろーっ! しかも自分だけがとっくにそう思っていたような偉そうな言い方! これだから作詞家はイヤだよねぇ。うんちくばっかり語ってさ。

 でも、ここにあがった言葉、確かにそうだなーと思うけど、勘違いしちゃいけないんじゃないのと思う言葉もある。
 それは、別に仲間うちで使うのならばいいんじゃないかという言葉もあるということ。えっ? オマエは仲間うちならどんな言葉でも使っていいと思ってるのかって? いやいや、そういうわけじゃなくてさ、つまり、間違った言葉づかいと、特に若い人が開発した言葉遊びから出てきたものとを混同してはいけないのではないだろうかと思うわけなんです、ハイ。言い換えれば、それは言葉に対するセンスの良さでもあるんじゃないかと。そういうクリエイティブな魂をつぶしてはいけないのではないかと。
 「ゲロうま」だって、「うざい」だって、「やばい」だって、「ぶっちゃけ」だって、「ビミョー」だって、ある意味ではなかなかうまい表現ではないでしょうか。自分が使うかどうかは別として。
 いつの時代だって、新しい言葉はどんどん出現し、それが常識に変わる。今正しく使っている言葉だって、その昔は大人が顔をしかめる言葉だったかもしれない。
 ただ、問題はそういう言葉をフォーマルな状況で使う不届き者がいるということだろう。それは言葉の問題ではなく、躾、マナーの問題なんだろう。時と場所を考えて、言葉づかいも選ぶのが大人だよね。
 というわけで僕は、自分が正しい、ていねいに言っていると思っているにもかかわらず、間違った言葉づかいをしている状態の方が気になってしまうんだなぁ。

 つい先日、レンタルDVD店でのできごと。
 混んだレジの前に並んでいると、隣のレジが開いた。
「二番目にお待ちのお客様、どうぞ」
 ニバンメ? にばんめ? 二番目・・・
 その時、僕は前から二番目に並んでいた。だから二番目に待っているのは僕。でも、もちろんそんなこと言っているわけないということはわかる。
 最近よくこの言い回しを聞く。特にコンビニで聞くことが多い。
 このあいだ、本屋でも聞いた。一番前に並んでいたので、ちょっとためらってしまった。
 どこからこんな変な言いかたが発生したのだろう?
 ていねいに言おうとすればするほど間違った日本語になる現象って、意外と多い。もう少し自分の頭で考えて話そうよね。
 オマエもだって? はい、気をつけます。てゆーか、もう少し自分の頭で考えて生きてけって感じ? ぶっちゃけ。

Copyright (C) 2009 Ryu Sawachi. All Rights Reserved.