essay

手を添える

 やはり新しい文化は今、コンビニから始まるのだろうか。

 一年ほど前からちらりほらりと出没し、最近はコンビニだけでなくいろいろなところで見かける生態。お釣りを渡す時に手を添える現象。つまり普通右利きの店員は、右手で釣り銭を手渡ししながら、お客の手の下に左手を添えるという気づかい。子供にお駄賃をあげるような状態。通常は添える程度だが、完全に手に触れる場合もあり。

 これ、なんとなく親切、なんとなく丁寧な雰囲気、お金がこぼれないような感じを醸し出す。
 でも、僕はこれがとっても嫌い。いつも好き嫌いには理由なんかないので、なんとなく生理的に嫌いなのだ。以上! 今回のエッセイ終了。
 とういうわけにはいかないので、ちょっとだけ最もらしく自分を分析してみた。

 まず、知りもしない人に手を触られるのは嫌だ。誰がなんと言おうと、普通嫌だ。それが、かわいいおねえさん、素敵なおねえさまならまだしも、ニキビのおにいさんや、加齢臭ふりまくおじさんには絶対触られたくない。潔癖性の僕としては、ここは特に大きなポイントである。
 次に、それって意味があるのかという疑問。それって親切? 丁寧? 実際に手を添えてるだけでお金ってこぼれた時に拾える?

 ところで、もともと店でお金を払う時って、今みたいにトレーに入れさせられたっけ? 逆だったよね? 払う時は手渡し、お釣りはトレーに載せられてたよね? 今でも銀行や郵便局、デパートやちゃんとしたレストランに行くと確かそうだよね? 誰かそこらへんの事情や、ルール、マナーについて詳しい人は是非教えてほしい。

 でもたぶん、たくさんのお客をレジでさばくには、支払いはトレーに置いてもらって、釣り銭は手渡しで返すのが効率的なのかもしれない。ひょっとしたら、またまたお得意の「マニュアル」にそう書いてあるのかもしれない。そもそもそこがなんか違うような気がする。そして、その手渡しの失礼感を緩和するために、いつどこで誰が始めたのかわからないが、手を添えるという方法がしだいに広まったのだろう。広まるということは、それっていいよねぇと思っている人が多いということなのだろうか。

 わからん! 僕にはさっぱりわからない。どうも僕はよくわからないことが多いらしい。今までにも何度か書いた言葉づかいのことも、流行する事象も、ヒットする曲のことも。つまり、僕は一般的ではなく、きっとひねくれ者なのだろう。と、自虐的になる今日この頃。

 さて、渡された釣り銭。僕はしまうのに人より時間がかかるような気がする。財布の中ってみんなどうなってる? 僕は千円札、ほとんどないけど二千円札、五千円札、一万円札の順に、同じ向きで、上下表裏もそろえて入っている。小銭入れは別なのだが、こちらも1円玉、5円玉、10円玉と50円玉、100円玉、500円玉は別の仕切りの中に収まっている。
 それがどうした!? 学校で持ち物検査されるわけじゃないんだし、誰かに見せるわけでもない。だいたい、いつもそんなにお札がうなっているわけでもない。自分が気持ちいいだけだろうと言われそうだが、ハイ、その通りです。
 だから、つまり、でもでも、もらった釣り銭を仕分けして、向きをそろえて入れるのにちょっと時間がかかる。
 そのかわり、出す時は早い! ちょっと自慢。それがどうした!?
 一般常識として、あるいは世間相場どしてどうなんだろう? この件についても、誰か教えてください。

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