essay

やっぱりヘン

 それにしても早いもんで、今年も気がつくと師走。毎年早い早いと感じるということは、人生なんてあっという間なんでしょうねぇ。
 いつものようにこの1年を振り返ってみると、なんと言っても足の怪我が大きかった。驚かれると思うけど、実は僕は今までに骨折を5回もしている。1回はスキー、あと4回はバスケット。骨折と言ってもいろいろで、ひびもあれば、剥離骨折もあれば、完全にポキっといっちゃったのもある。でも、複雑な骨折ではなかったので、いつもほぼ1ヶ月で回復した。骨がついてしまえば、意外に治りは早い。
 ところが今回の捻挫はそうはいかない。ただまっすぐ走ることはできるようになったものの、複雑なターンやステップ、過度の力がかかることは4ヶ月たった今でもムリっ! かと言って動かさないと固まってしまう。かばっているからあっちこっち体のバランスが悪くなる。普段の生活には支障ないのだが、スポーツをやるとキレがなくて自分が情けなくなる。これ、歳のせいでしょうか。早く思いっきり走り回りたーいっ!!(馬かっ!)
 もうひとつは、プロデューサーとしていくつか仕事ができたこと。幸いにもいろいろな素晴らしい人たちと一緒に仕事ができて、本当に感謝しています。来年はもっとはばたかないとね。

 さて話は突然変わるのだが、相変わらず世の中にはおかしな日本語や納得できないことが多い。

 先日、ごはんのおかわりが自由な定食屋でランチを摂っていたら、後ろの席に座っていた若いサラリーマンが店員にこう言った。
「すみませーん、おかわりもらってもいいですかぁー?」
 おいおい、もらってもいいですかぁーだと? 「〜もらってもいいですか?」「〜してもらってもいいですか?」という言い方は、強制的ではない感じがするらしく、ここ数年、若い人たちがよく使っている。人間関係が希薄になればなるほど、人を傷つけない(言い換えれば自分が傷つきたくない)ように、言葉がどんどん断定的ではなくあいまいになってきたような気がする。やっぱりヘンだよね。

 そう言えば、こういうのもおかしいなーと思うことの一つ。
「ヒットチャートプロダクションの佐藤ですが、江口さんいらっしゃいますか?」
「ただいま外出しておりまして、1時間ほどで戻る予定です」
「それでは折り返しお電話いただけますでしょうか?」
 逆もある。
「江口はただいま会議中ですので、席に戻りしだい折り返しお電話さしあげます」
 折り返し? うーん、なんかヘン。折り返してくれって相手に要求するもの? 折り返すって自分がするんじゃないの? 折り返すってどれくらいの時間内のこと?
 相手からかかってきた電話に対して、
「その件につきましては、すぐに調べまして、折り返しお電話させていただきます」
っていうのならわかるんだけどなぁ・・・やっぱりヘンだよね。

 僕が仕方なく愛車として利用している京浜東北線は、よく止まる。あるいはよく遅れる。だけど、その理由が潔くない。
「信号機のトラブルにより・・・」
「後続の電車が遅れておりますので・・・」
 うーん、なんとなく納得しちゃうようだけど、僕は納得しない。トラブルっていう曖昧な言い方はなんなんだろう? 故障じゃないのだろうか? 後続の電車はなぜ遅れたんだろう? なんとなく責任転化しているように思うのは僕だけだろうか?
 ましてや人身事故なんて起きた日にゃあ、JRは被害者にでもなったようだよねぇ。振替輸送の私鉄の駅員さんたちの態度の方がはるかに良くて、むしろJRよりも頭下げてたりする。やっぱりヘンだよね。

 もうひとつJRの駅や車内での放送について。
「このへんでドアを閉めさせていただきまーす」
「お荷物、お体を強くお引きくださーい」
 なんだかおかしくない? そう思うのは僕だけ?  このへんって一体なんなんだろう? この言葉必要? 閉めさせていただくって、そんなにへりくだらなくったって・・・
 お荷物を引くのはわかるけど、お体を引くってぇーのがこれまたよくわからない。僕は僕の体をどうやったら引けるんだろう? やっぱりヘンだよね。

 ところで「ドアが閉まります」っていうのはおかしいから「ドアを閉めます」に変えている路線があるらしい。
 確かにドアは勝手に閉まらないわけで、車掌がドアを閉めるんだよね。でも日本には昔から「お茶がはいりましたよ」とか「お風呂が沸きましたよ」とかっていう言い方があって、なんとも言葉は難しい。

 さてさて、今年は10月から始めた年末の大掃除(年末じゃないだろっ!)。順調に終わって、ついでに年賀状も書き終えて、ゆっくりとクリスマスを過ごしている。なんて気分がいいんだろう。
 そろそろ来年の目標でも考えよっかな。ひとつだけ思っているのはライブをやりたいってこと。その際は是非皆様お誘い合わせの上、冷やかしに来てやってくださいな。

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