essay

70%

 中途半端にやるくらいなら、やらないほうがいい。かえってイメージが悪くなるだけだ。確かにそういう考え方もある。
 実際ずっと僕はそうだった。自分が納得したものしか人に見せられなかったし、納得できなさそうなことはやらなかった。
 やる前に想像する。こうやってああやって、こうなってああなって、うーん、たいしたことないな、うまくはいかないな、やめよう。 うまくいきそうなことは100回に1回。あとの99回は動けない。
 これはだめ。よくない。本当にいけないこと。

 そもそも100%うまくいくことなんてことは、そんなにたくさんはない。あったら今頃なんとかヒルズの高層階に住んでいただろう。
 こういう言い方をすると大変失礼なのだが、どう考えても僕よりも力のないやつがどんどん結果を出していく。よく見ていると「だいたい」で動いているんだ。なんでもかんでも70パーセントくらい。
 期待する結果も70%くらいだから、できそうな気がしてとりあえずすぐに動き出す。思った通りにいかなくても、それも予想の範囲。どう考えてもうまくいきそうもないことでも、動き出してみるといろいろ状況が変わって、思っていた以上にうまく展開してしまう。まわりが助ける。それでも結果70%でいい。うまくいったと本人は思う。心から思っている。
 こうやっていつも70%で生きていたら、100回に1回だけ100%で、あとの99回が0%の人よりはるかに先へ行ってしまうのは当たり前だ。

 こんな当たり前のことに気づくまで結構時間がかかった。ここ数年、いつもそんなことを考えながら生きている。
 「70%」
 「だいたい」
 「動いてから考える」
 これが結果を出していくコツ。少しでも結果が出ると、また何かがころがる。とりあえず動いてみて、だいたいの答えを出す。また何かがころがる。

 そういうわけで、このエッセイもだいたいでいいんだ。70%くらいのできでいい。自分の中で完璧を狙うといつまでも掲載できなくなる。もうこれ以上は推敲しない。だからこれくらいにしておこう。おしまい。

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