#09 12月 銀の朝 |
やけに外が静かだと思ってカーテンを開けてみると、 窓の外は一面の銀世界。 ゆうべ降っていた雨が、きっと夜中に雪にかわったんだ。 あわてて枕元に置いてあった靴下をのぞくと、 欲しかったオモチャがちゃんと入っている。 やったあ。サンタさん、ありがとう。 でも、このオモチャで遊ぶのと、庭で雪だるまを作るのと、 どっちを先にするかはかなり迷うところだ。 そんな素敵なホワイトクリスマスを経験したことはある? 南国生まれ、南国育ちの君はもちろん首を横に振った。 東京でも、観測開始以来クリスマスイヴに雪が降ったのは、 一八九一年と一九六五年のたった二回だけで、 しかもちらついただけなんだって。 と僕。 北国に行けば、毎年ホワイトクリスマスなのだろうけれど、 それじゃあ意味がなくて、きのうまで降ってなかったのに、 目が覚めたら雪が積もっているっていうのが素敵なのよね。 と君。 ただ、いずれにしても、こうやってクリスマスの朝に、 恋人とふたりで朝食が食べられるなんて、 僕の人生ではホワイトクリスマスの確率くらいの快挙。 つまりはじめてってこと。 今日仕事を休むため、この一か月間がんばった自分を誉めたい。 ビング・クロスビーのホワイトクリスマスを聴きながら、 お互いのプレゼントをわくわくしながら開ける。 サンタクロースの存在は恋人にかわり、 プラモデルは万年筆に、人形はネックレスにかわったけれど、 いくつになっても子供に返ってしまうこの季節が好き。 |